ゆるりと快適な住まい方を探る

北関東の高気密住宅での暮らし

南面の窓はペアかトリプルか 真冬の日射取得と結露から考える

 

 

 

ペアかトリプルか

ペアガラスとトリプルガラスの窓の性能を比べると、一般的に断熱性能はトリプルが優れており日射熱を取り入れる性能はペアガラスが優れています。

パッシブ設計の考え方を取り入れている家の場合、南面の窓は日射取得を優先してあえてペアガラスにするケースも多いかと思います。

実際にカタログスペックから熱損失(窓から逃げていく熱)と日射熱取得(窓から入ってくる熱)の収支を計算してみると、熱収支はペアガラスのほうが勝っているようですね。

【参考】太陽に素直な設計 冬の日射取得と夏の日射遮蔽

【参考】南面の窓はトリプルよりペア?日射熱取得型と遮熱型はどっち?

 

南面ペアガラスの家で真冬を迎えて

わが家も同様の考え方に基づいて、南面の窓は日射取得を優先したペアガラス(YKKAP製APW330・断熱Low-E)、その他の面はトリプルガラス(同社APW430・遮熱Low-E)となっています。

【参考】遮熱か?断熱か?Low-Eガラスの使い分け

 

天気のいい日はできるだけ日射を取り込み、夜間や天気の悪い日はハニカムブラインドを降ろして断熱を補います。

陽射しをしっかり取り込めれば真冬のこの時期でも室温は26℃まで上がることもあり、夕方以降にブラインドを降ろせば日付が変わる頃まで無暖房で20〜22℃をキープできます。

天気の悪い日は1日ブラインドを降ろしていますが、夜間に床下エアコンを数時間動かせば終日室温20℃は維持できています。ハニカムブラインドの断熱性能は想像以上で、夜間に窓際に手をかざしても冷たさはまったく感じません。

この家で迎える初めての冬、ペアガラスからの日射取得+ハニカムブラインド+床下エアコンは非常に効果的な組み合わせであることを実感しています

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樹脂窓なら結露しない・・・わけではない

コストと日射取得が有利で不足する断熱性能はハニカムブラインドで補えるなら「ペアガラス最高!」となりそうなものですが、当然ことはそう単純ではありません。

冬といえば結露。ハニカムブラインドといえば結露。

 

「樹脂サッシであれば、高気密高断熱住宅であれば結露しない」というものでもなく、条件が揃えば物理現象として結露は発生します

たとえば室温21℃、湿度50%の空気には1kgあたりに7.7gの水蒸気が含まれています(重量絶対湿度7.7g/kg)。空気に含んでいられる水蒸気の量は空気の温度によって変わりますので、もし室温が露点温度である10.2℃を下回ると保持しきれなくなった水蒸気が水に戻り結露が発生します。

私の住んでいる地域は真冬のこの時期、明け方の外気温はマイナス5〜6℃まで下がることがあります。外気温がマイナス3℃だった1月某日の朝、窓とハニカムブラインドとの間の室温を測定したところ4.7℃でした。室温は20℃少々、湿度は50%でしたので当然のことながら結露が発生します。

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結露が生じないような環境は作れるのか

ハニカムブラインドをつけていると結露が発生しやすいというのはよく指摘されていることです。断熱性が高いが故の悩みですね。

一般的な対策は「ブラインドの下を少し開けておく」ことです。そうすることによって窓とブラインドの間の冷気を逃して露点温度を下回らないようにしようというものです。

私もまずはこの方法を試しましたが、結論としては今はもうやっていません。ブラインドの下の隙間から冷たい空気が床を這うように広がり、冷え性の私と家族には耐えられなかったからです。いわゆるコールドドラフトと呼ばれる現象ですね

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【参考】快適な温度を保って笑顔が集う住まいに! | YKK AP株式会社

 

次に試したのは湿度をできだけ低く抑えること。

加湿器は回さず、計画換気をしっかりと回せばわが家の室温20℃・湿度35〜40%(重量絶対湿度6g/kg以下)になります。ここまで湿度を下げると結露はほぼ防ぐことができます。が、当然のことながらちょっと乾燥した感じになりますし、感染予防の観点からもあまり低湿度にしておくのは好ましくありません。

 

冷気を我慢するか、乾燥を我慢するか。いっそのことハニカムブラインドを断熱性の低いロールスクリーン等に変えるか。

今のところわが家ではハニカムブラインドを床まで降ろしてコールドドラフトを防ぎ、加湿もある程度しています。つまり住み心地と健康を重視して真冬の間の結露は受け入れるという方針です

真冬の1ヶ月間くらいのことと割り切って、最近はほぼ毎朝、ブラインドを開けて結露チェックして窓の下側にうっすらついている結露を拭き取っています。

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結局のところペアかトリプルか

ここまで読んでくださった方に勘違いしないでいただきたいのは「高気密高断熱=結露しやすい」ではないということです。私が以前住んでいた低気密低断熱を地で行くようなアパートでは、今とは比較にならないくらい大量の結露が発生していました。高気密校断熱の家でも条件が揃えば結露は発生する、しかし高性能の家だからこそ氷点下の時期でも快適性を保ちながらこの程度の結露で済んでいるという話です

 

もちろん南面の窓がトリプルガラスであれば結露発生のリスクは大幅に下がるでしょう。実際、南面以外についているトリプルガラスの窓に結露が出ることはほとんどありません。

日射熱取得やコストを優先してペアガラスを採用するか、断熱性能を優先してトリプルガラスを採用するか。結露を気にせずに湿度管理ができること、天気の悪い日も含めた室内環境の安定度を考えると、日射取得を犠牲にしてもトリプルを採用する家があるのも理解はできます。

もし私が今から選ぶとしたら・・・悩ましいところですが、やはりペアガラス+ハニカムブラインドを選ぶと思います。窓がどうあれ湿度管理は必要ですし、真冬の間だけ多少の結露を拭けば済む話ですので。

 

そもそもの話をすれば施主がペアかトリプルかを選ぶケース自体あまりないでしょう。高性能住宅を建てることのできる工務店等であれば、プロの目線でその立地と家に適した窓を選択してくれるはずだからです。

大事なのは結露が発生する理由や条件を知っておくこと。性能の高い家だからこそ理由や条件を絞り込みやすく、ある程度のコントロールが可能です(以前の性能の低い家では悪条件が多すぎてコントロールしようという気にもなりませんでした、、、)。

少しマニアックかもしれませんが、勉強しながらこうやってより良い住まい方を考えるのも高気密高断熱の家の醍醐味だなと感じながら日々楽しんでいます。